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2016年6月 4日 (土)

「ヘイトスピーチに関する法律」 (平成28年6月4日・記)

正式名称、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」は、案として、5月13日に、「先に」参議院で投票がおこなわれ、次のような結果になり、賛成多数で成立した。(http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/vote/190/190-0513-v014.htm

投票総数 228   賛成票 221   反対票 7

参議院242議席のうち、14票は白票だったことになる。

自民党はほとんど、公明・共産・おおさか維新は全員が賛成、白票は自民党その他に散らばっている。

参議院で審議されていた法案は、そのまま本会議採決まで運ばれた。
この後、直ちに衆議院に回され、5月24日に本会議で採決され、賛成多数により成立し、6月3日に公布され、「公布と同時に施行」された。

ある意味、大変あわただしく、でたとこ勝負のような勢いと経緯で成立したのである。

この法案は、参議院での結果からわかるとおり、左右双方が賛成していると同時に、左右双方が反対している不思議な法律である。
それが証拠に、成立以後一週間が経つというのに、法律についての批判の声は、左右どちらにおいても大きくない。

その略称さえ、一定のものがない。
ここでは無難に、「ヘイトスピーチに関する法律」という、間の抜けた言い方にした。

あえて言えば、「ヘイトスピーチ規制法」という呼称がまだ多いほうかな、と思うくらいだ。
ただこれでさえ、サヨク側からは、罰条もなく、規制法というにはその内容が不充分だという声があり、保守側には、内容に片手落ちの部分があり、法案自体が急いでつくられた経緯もあり、「横に見る」くらいの存在感しかなく、一般的に罰条のない法律を規制法と呼ぶにはためらいがあるようだ。

まさに、こうした「とまどい」や「躊躇」が、全会一致に近い賛成を得ながら、日本のこころを大切にする党の三名全員が反対、社民党も吉田忠智は白票であるが、事実上三名全員が反対という結果に反映されている。

2014年8月の自由権規約委員会において、日本は「日本の第6回定期報告に関する最終見解」として、ヘイトスピーチ及び人種差別に対応することを申し合わせた。(→http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000054774.pdf)

同時に、同年9月、人種差別撤廃委員会において、「日本の第7回・第8回・第9回定期報告に関する最終見解」として、ヘイトスピーチ及びヘイトクライムに対応することを申し合わせた。(→http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000060749.pdf)

これら国際的な動きや勧告にしたがって、かなり急いでつくられたのが、このたびの「ヘイトスピーチに関する法律」である。

この、自由権規約委員会と人種差別撤廃委員会の勧告は、ヘイトスピーチだけにとどまらない。ご覧いただけばおわかりのとおり、死刑廃止などを含め、日本の伝統や歴史の流れに背くものばかりで、今後すべてこの勧告通りにした場合、日本という国家のアイデンティティは、国連によって骨抜きにされる可能性がある。

われわれがそこまで気が付くのだから、国会議員も立場こそ違え、これについてはみな承知しているところだろう。

自民党側が急いだのは、「取り急ぎ」つくることで、国連からの批判をかわす狙いがあったのは明らかだ。
国際社会において、安倍首相の熱心で誠実な外交は一定の評価を受けており、将来の常任理事国入りのためにも、国際社会全体の印象を良く保っておく必要がある。

民進党・共産党など野党売国奴側は、もともとこんな法律さえなかったのだから、とにかく成立することは願ったりかなったりだった。それでも、真の狙いは、この法律を自分たちの勢力拡大のツールにし、何かにつけ、水戸黄門が印籠を示すような効果を予定しているのだろう。

この法律をツールにした野党の勢力拡大方針を、同じサヨク側として糾弾してきたのが中核派や革マル派などの過激派であり、福島みずほや山本太郎が、白票どころか反対票を入れたのも納得できる。

この法律には前文が置かれている。(→http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/190/meisai/m19007190006.htm


 我が国においては、近年、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、適法に居住するその出身者又はその子孫を、我が国の地域社会から排除することを煽(せん)動する不当な差別的言動が行われ、その出身者又はその子孫が多大な苦痛を強いられるとともに、当該地域社会に深刻な亀裂を生じさせている。
 もとより、このような不当な差別的言動はあってはならず、こうした事態をこのまま看過することは、国際社会において我が国の占める地位に照らしても、ふさわしいものではない。
 ここに、このような不当な差別的言動は許されないことを宣言するとともに、更なる人権教育と人権啓発などを通じて、国民に周知を図り、その理解と協力を得つつ、不当な差別的言動の解消に向けた取組を推進すべく、この法律を制定する。

このうち、「国際社会において我が国の占める地位に照らしても、・・・」のくだりは必須だったろう。

これに続き、総則が置かれ定義、基本理念が書かれる。


 この法律において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは、専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの(以下1において「本邦外出身者」という。)に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加える旨を告知するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう。

この定義は漠然としているが、初めから罰条を設けるつもりがなかったとすれば、受信契約を定めた放送法64条と同様、努力義務の法律なのであって、包括的な定義でいいと判断したのだろう。

前文と定義を比較する限り、国連へのアピールという点では、本文より前文のほうに重きがあるような印象であり、実際、それが本当のところだろう。

罰条がないだけに、サヨク弁護士が主張する「違反」や「禁止」という言葉がないのは当然だが、
マイノリティの味方を自認する連中は、不当な差別的言動の対象に、「本邦外出身者」や「適法に居住するその出身者又はその子孫・・・」というしばりがあることに、最も不満なのだ。

すなわち、「アイヌ民族、琉球・沖縄の人々、また被差別部落といった国内のマイノリティに対してヘイトスピーチをしても適用対象外とされることも大きな問題」である、という。
この件については、日本国民の民度が熟してきており、かつてほどの差別は少なくなりつつあり、これらをいつまでも差別対象にカテゴライズしておくのは、これこそ連中の商売と売名、ひいては売国政党の勢力拡大のためにほかならない。

結果的に、この法律の成立意図は、国際社会への応答であると同時に、より根本的なところにあると思われる。

1.
対シナの動向に対し、防衛上、日米韓は、根本のところでは、協力体制になくてはならない。昨年暮れの日韓合意もそのひとつである。

2.
民進党・共産党の連中が飛びついて賛成するだろう唯一の法案を、与党が先取りして成立させることで、政権側の意向を反映させながら、同時に、野党のガス抜きを狙った。
野党は緊迫感を削(そ)がれたのだ。同日選にしなかったことも、結果的に、落選が危ぶまれる野党衆議院議員にとって救いとなった。

1.については、読んで字のごとく、である。

2.については、安倍内閣として、歩み寄れるものはギリギリまで歩み寄って、安倍政権は実は、ものわかりのよい内閣であり、話せばわかる内閣であることのアピールにもなる。

これは例えば、SEALDs を応援していた、人権屋弁護士・伊藤和子が主催するNPO法人ヒューマンライツ・ナウが、意志に反して女性をアダルトビデオへ出演させることについて、女性への人権侵害として、政府が実態の把握につとめるという答弁書を閣議決定したのも、こうした一環であると見る。
女性の社会進出や地位向上をかかげる安倍内閣としては、聞く耳をもっているのですよ、ということだ。

これは、伊藤がそうであるように、政府批判を繰り返す有権者も、やはり半分は女性であり、何かというと、女性・子供・障害者を全面に立てる共産党支持者への懐柔、あるいは緊迫感の削ぎ落としという効果を狙ってのことでもあるだろう。

安倍内閣の最大の懸案は、憲法改正にある。
抵抗勢力を片っ端から批判する一方で、歩み寄れるところは歩み寄ることで、支持基盤を広げ盤石なものにしたいのだ。
われわれもその懸案に向けて協力したい。

あまり、歩み寄り過ぎれば、本末転倒になるおそれもある。国民がしかと、与野党と政権を監視していく必要がある。

ともかくも、「ヘイトスピーチに関する法律」が出来上がったことは事実だ。
特定秘密保護法の成立、マイナンバー制度の確立など、民主党が自分たちの都合のよいように立法化しようとした法案は、これを受けるかたちで、しかるべき分野ごとに独立して成立した。

安倍首相は、戦後にきちんと区切りをつけて、国際社会での日本の未来を模索している。
そのプロセスに、「ヘイトスピーチに関する法律」を位置付ければいいことだと思う。

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