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2014年9月24日 (水)

映画 『去年マリエンバートで』

監督:アラン・レネ、脚本:アラン・ロブ=グリエ、 撮影:サッシャ・ヴィエルニ、編集:アンリ・コルピ、ジャスミーヌ・シャスネ、音楽:フランシス・セイリグ、主演:デルフィーヌ・セイリグ、ジョルジョ・アルベルタッツィ、サッシャ・ピトエフ、94分、モノクロ、1961年、フランス映画(仏伊合作)、原題:L'Année dernière à Marienbad(去年マリエンバートで)

ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞している。
脚本のアラン・ロブ=グリエは、『嫉妬』などで知られる小説家である。『嫉妬』(La Jalousie 1957年)は、1959年、白井浩司訳で新潮社から出版された。

以下のとおり個性的な映画ではあるが、内容的にも、映像美という観点からも、隠れた人気を保つ作品であり、最近では、2010年2月から3月にかけての3週間、東京・渋谷のイメージフォーラムで上映された。

主役は、女性A(デルフィーヌ・セイリグ)、男性X(ジョルジョ・アルベルタッツィ)、男性M(サッシャ・ピトエフ)であり、MはAの夫のようである。

広大な庭園をもつバロック建築風の巨大なホテルで、紳士淑女が集まり、オペラの観劇とパーティが開かれる。
そこでXはAを見かけ、去年会いましたね、と問うが、Aには記憶がない。

しかし、何度もXに問われるうち、Aは、定かではないが、そんなことがあったような気がしてくる。Xによれば、実は二人で旅立つ寸前まできて、Aが姿を現わさなかったというのだ。

人々の中には、夫らしき男の存在Mがいて、ときおりAのそばに姿を見せる。MはXの心中を知り、心理的に相手を負かすため、トランプやマッチを使って、あるゲームをおもなう。

やがて、三者それぞれの思惑からさまざまなイメージが広がり、現在から過去、過去から現在という時間の行き来が始まる。・・・・・・

映画好きの世界では有名な映画だ。雰囲気も独特で、すでに何回も観ている。初めて観たときは、キツネにつままれたような印象であった。

だいたいのストーリーはあり、言っていることはわかるのだが、途中から、現在と過去、言ってることの食い違い、などが目くらましのように次から次に出てくる。
アラン・ロブ=グリエは、黒澤明の『羅生門』から着想を得たという。映画『羅生門』は、芥川龍之介の『藪の中』をもとに書かれている。多襄丸の証言、武士の妻の証言、巫女の口を借りて話される武士の証言、…三者三様に証言が食い違う話だ。

約1時間半の上映で、会話はそんなに多くなく、初めから殆んど、誰かの語りとなっている。
男二人と女一人という、ストーリーの想像しやすい設定だが、記憶と時間がテーマになっているので、わかりにくい映画という定評はある。

白黒ならではの、光と影の演出はもちろん、鏡や壁の意匠などを、うまく演出に使っている。後半でAのまとうローブはココ・シャネルのデザインによるなど、映像のなかで衣装、インテリア、庭園の美しさにも目がいく。

始終奏でられる催眠術のようなオルガンの調べ、頻繁に歩くように横に動くカメラ、カット割りの遊び、装飾や庭園の幾何学模様、背景は違うのに何度も出てくる彫刻、鏡を多様した演出、死人のように表情のない人々の存在感、主役3人を含め無機質な動きしか見せない紳士淑女、必ず同じ人間が勝つ二人のゲーム…、 どこか不気味でミステリアスな雰囲気さえ漂わせながら、3人は確実にある方向に導かれていく。

このゲームとは、トランプを用意して、テーブル上に、4列にカードを置く。
一列目に7枚、二列目に5枚、3列目に3枚、四列目に1枚、・・・二人でこれらのカードを取り合って、最後の一枚を取らざるをえなくなったほうが負けである。

一回に取るカードの枚数は何枚でもよいが、一つの列からでしか取れない。一つの列から1枚だけ取ってもいいし、複数枚取ってもいいし、全部取ってもいい。ただしあくまでも、一つの列からだけである。そうして、交互にカードを取り合う。

このゲームには、必勝法があるようだ。Xは常にMに負けてしまう。まるで、Mは自分がAの夫か、又は先んじて親しくなった男であることを、ゲームの勝利によって暗示しているかのようである。

誰が本当のことを言っているのか、本当のことはあったのだろうか、…そういう疑問には何の意味もない、と原作者アラン・ロブ=グリエは述べている。
しかしよく観ていれば、話は通っている。

Aに駆け落ちを促したMは、一年待った。そして偶然、この巨大なホテルで再会した。Mは、去年撮った写真を元にAの記憶を甦らせ、いまだに怯えるAに、心のすべてで執拗に誘惑しつづけるのだ。

Aは去年、土壇場で姿を表わさなかった。偶然Mと出会っても、そのことを忘れていたのか、それとも忘れたふりをしていたのか。
いろいろな暗示が散りばめられながら、次々に映像が畳みかけられていく。

『2001年宇宙の旅』『マルホランド・ドライブ』をはるかに超えるほど難解だと定評ある映画、・・・しかしそれらよりは上映時間の短い映画…、上映中、あなたがこの映画とともにあったことだけは、確かなのである。

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