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2014年7月27日 (日)

映画 『モロッコ』

監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ、原作:ベノ・ヴィグニー『Amy Jolly』、撮影:リー・ガームス、編集:サム・ウィンストン、音楽:カール・ハヨス、主演:ゲイリー・クーパー、マレーネ・ディートリッヒ、音楽:カール・ハヨス 1930年(昭和5年)、92分、アメリカ映画、モノクロ、原題:Morocco

ゲイリー・クーパー、マレーネ・ディートリッヒともに29歳のときの作品。

仏領モロッコの街にアメリカからの外人部隊がやってくる。その一員であるトム(ゲイリー・クーパー)は、酒場の歌姫アミー(マレーネ・ディートリッヒ)に夢中になる。
アミーは船でモロッコに着いたばかりで、同じ船に乗ってきた富豪のラ・ペシェールも、彼女を狙い、やがて婚約にまでかこつけるのだが、…。

1930年といえば昭和5年で、日本で初めて字幕のついたトーキーとしても有名な作品。

灼熱の地の乾いた厚さ、エキゾチックなムード、ディートリッヒの退廃的な容姿、ゲイリー・クーパーの色男ぶり、これらが恋物語を、一層ジリジリと熱くする。

外人部隊の楽隊の演奏とアミーの歌声以外に、ほとんど音楽が入らず、しゃれた、無駄のない会話、大胆な横移動のカメラなど、故意に近い個性的な演出が見所だ(演出というのはすべと故意だけど)。

アミーの歌う酒場のステージのつくりはおもしろい。楽団が上にいて、将校たちの席は段々に並ぶ。トムら傭兵は下の席だ。

冒頭、船で着いたばかりのアミーがバッグを落とすと、それを拾うのはラ・ペシェールだ。そのあとの、波の音、汽笛の音、霧の中に佇むディートリッヒが美しい。

キザでかっこいいが、ストレートに物を言えないトム、トムに惹かれながらもラ・ペシェールにくどかれるアミー。映画としてはありふれた素材でありながら、ディートリッヒの目の動き、軽妙な会話、二人の立ち位置、タバコ、酒、指の挨拶などで、いろいろな恋のシーンを見せてくれる。

いよいよトムは戦地に移動しなければならない。トムがテーブルに彫った文字を見て、アミーの心は決まった。
トムのいる部隊のあとから、女たちが荷物を担ぎ、家畜を連れて、砂漠の中へと、部隊のあとを追う。

それを見ていたアミーは、ラ・ペシェールにキスをするも、女たちに混じって、部隊のあとを追う。砂漠に靴を脱ぎ捨てて歩いていくシーン、歩き方がいい。そのまま女たちの姿が、画面右上に消えていくラストシーンが心憎い。これほど印象深くかっこいいラストシーンは『第三の男』くらいだろう。

不良っぽくかっこいい恋男・恋女を描いた先駆的作品。日本の「カスバの女」に通ずる二人の出会いと運命が、砂漠に近い港町で待ち受けていた。あなたも私も買われた命…。

自分のなかでは、『望郷』(1931年)と並び、異国の恋を描いた映画の双璧となっている。『望郷』は仏領アルジェのカスバが舞台。『カサブランカ』はカサブランカが舞台。

運命の出会いと行きずりに咲くロマンティックな男女の夢(ゆめ)幻(まぼろし)の舞台は、モロッコ、カズバ、カサブランカといった、乾いた灼熱の地、港、酒場、がよく似合う。

One way ticket. Never Return.

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