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2013年5月 6日 (月)

映画『遊星からの物体X』

監督:ジョン・カーペンター、原作:ジョン・W・キャンベル『影が行く』、脚本:ビル・ランスター、撮影:ディーン・カンディ、音楽:エンニオ・モリコーネ、主演:カート・ラッセル、1982年、109分、原題:The Thing(もの)

何度観ても飽きない想い出の作品。一応、1951年の『遊星よりの物体X』のリメイク版にはなるが、全く独立した作品である。これほど何回も観た映画もないかもしれない。当時、友人からの紹介で、期待せず映画館に出かけたのを覚えている。

なんだB級SFホラーか、暇なとき見てやろうか、とバカにしていた者が観てみて、異口同音に、あのまま見ていなかったら損してた、と驚きと感動を口にする映画だ。

当時二週間前に公開された『E.T.』の正反対をいく映画で、希望もなく悲劇的でおぞましい。そのためか結局、興行収入も伸び悩んでしまい、製作費ととんとんというありさまであった。たしかに、映画は希望や夢を与える娯楽が本道で、そういう内容のものにアメリカ人は弱いようだ。

しかしその後人気を集め、映画ファンなら誰もが知る映画となってしまった。今やホラーとしてはA級作品と言ってよいだろうし、個人的にはホラーを超える映画と思っている。

登場人物は、冒頭ですぐ死ぬノルウェー人を除き、男だけ12人で、女性は登場しない珍しい映画だが、女性にも人気がある。厳寒の南極という閉鎖された設定もよかった。

ストーリーがきちんとできており、モンスターの登場が突然で、登場頻度と間隔もちょうどよい。
何回も見ていると逆に笑えるシーンも多いが、おぞましい怪物の登場シーンに、初めて見る人は仰天するばかりだろう。

広大な南極の雪原を、一匹の犬を追ってヘリが飛んでいる。やがて犬は、アメリカの南極観測隊の基地に逃げ込む。それを撃ち殺そうとヘリで追ってきたのはノルウェーの隊員で、言葉も通じず、アメリカの隊員と撃ち合いになり、彼らはみんな死んでしまう。
犬は仲間の犬といっしょに犬小屋に収容されたが、夜中に異様な変容を遂げ、隊員たちに焼き殺される。

実はこれは犬ではなく、犬のカタチに変わった「もの」であった。調べたところ、その「もの」は、生きている生物に触れるとそれを吸収し、それを終えるとすぐ変形しその生物そっくりに成りきってしまうというのだ。人間に入り込み成りきってしまうと、ホンモノの人間なのか、「もの」が宿った人間なのか、外見からは区別がつかない。

隊員たちにもその危機が迫り、一人がある夜、「もの」に取りつかれてしまう。変形の最中に見つかったので、これも焼き殺されるが、こうなると、いつ誰が「もの」に襲われて人間に化けているのかホンモノの人間のままなのかわからず、隊員相互に疑心暗鬼が募る。
隊員のうち一人がパニックに陥り、通信設備をすべて破壊してしまい、ヘリも破壊されたので、外部との連絡は不可能になってしまった。……

火だるまになるスタントや調教されたシベリアン・ハスキー犬の使い方など、わずかなシーンにほど膨大な費用と時間がかけられ、厳密に編集されているのがわかる。
特に、前半に出る犬の演技はみごとで、このハスキー犬の存在がなければ導入部もありえず、話が始まらず、登場人物の一人と言ってもいい。まさにこの犬が最初に、変形を遂げるからだ。ちなみに、この犬の変形シーンでは、ホンモノの犬とダミーの犬を混ぜて使い、カットを重ねて全部ホンモノのように見せている。触手が伸びたり、触手が犬にからみつくシーンは、もちろん逆回しである。

SFX担当は当時22歳のロブ・ボッティンだ。彼の名をこの映画で初めて知ったが、その後いろいろな映画でおぞましいものを作り上げていることも知った。ホラーの出来は、特撮にあると言ってもいい。後のモンスター作成、SFXなどに、大きな影響を与えた。あの『氷の微笑』にも彼の名は出てくる。さて、そんなシーンがあったかどうか、わかった人はよく見ている人だと思う。

変形する犬のシーンだけは、時間の関係から、当時無名のスタン・ウィンストンが手掛けている。後に『ターミネーター1・2』『エイリアン2』などの特殊メイクで活躍した。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』や『ニュー・シネマ・パラダイス』などで知られる巨匠エンニオ・モリコーネが音楽を担当しているのも意外で、不気味な雰囲気醸成にひと役買っている。

ラストで、マクレディ(カート・ラッセル)の息は白く映るが、チャイルズ(キース・デイヴィッド)の息が白く出ないなど、話題を呼んだシーンもある。生存者はついにこの二人だけだが、寒さの中でどっちみち長くは生きられず、二人でウィスキーを飲みかわす絶望的なシーンで終わりとなる。

できればブルー・レイで観るといいでしょう。

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